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化粧品やサプリメントなど、人々の美と健康を支える商品やサービスを次々と世の中に送り出しているファンケル。コモディティ化が進む業界で引き続き選ばれる企業であるために、そのブランド力を強化すべく2024年4月に社内でブランド推進プロジェクトが発足しました。
同年5月からは、新しいスタンスメッセージを制定。ブランディングを進めていくための土台作りの一環として、amana Creative Campを実施しました。ファンケル社員27名が参加したワークショップについて、白石泰章さん(ファンケル/広告宣伝本部)と、柏倉香奈子さん(ファンケル/広告宣伝本部)のお二人に伺いました。
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課題は、ブランドとしての一貫性を打ち出せていないこと
ファンケルといえば、安心安全な無添加を起源とする品質への徹底的なこだわり。その精神が2大事業である化粧品と健康食品事業を支え、創業40年以上が経つ今もなお、多くの人の信頼を得ています。事業が拡大するにつれ、また時代の流れに合わせて、通信販売、直営店舗、卸、海外など、その販売チャネルは多岐にわたるようになりました。
「販売チャネルが多様なのは強みではありますが、個別最適になりがちで、会社全体で一貫性ある情報発信をしにくい状況だと感じていました。取り扱う商品や販売チャネルの特性によって、アウトプットのクリエイティブ表現にバラつきが出てしまうというか。もっとファンケルを好きになってもらうためにブランド価値を高める必要があると考え、昨年からブランドアイデンティティを策定してファンケルらしさを言語化するなどの活動を実施。2024年5月からファンケルのスタンスメッセージを『なにげない感動をずっと。』に一新しました」(白石さん)
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ファンケルの白石泰章さん(広告宣伝本部 広告戦略部 コーポレートブランド推進G 主査)。
「これまでのスタンスメッセージである『正直品質。』は、創業以来大切にしてきた誠実なものづくりへの姿勢や想いを表現しています。今改めて、この先の未来に向けて、ファンケルのありたい姿とは何だろうと考え、昨年から社内でヒアリングを重ねてきました。多くの従業員に共通していたことが、『人を想う強い気持ち』こそがファンケルの根底にある価値だということ。お客様を第一に考える姿勢がファンケルの全ての企業活動に反映されてており、これこそがファンケルらしさではないかと考えました。変化の激しい時代に、ファンケルらしくお客様に寄り添い続ける姿勢を『なにげない感動をずっと。』 というメッセージに込めることにしました。」(柏倉さん)
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ファンケルの柏倉香奈子さん(広告宣伝本部 広告戦略部 コーポレートブランド推進グループ)。
ファンケルの強みは、美と健康の両軸があること。美と健康両面から世界中のお客様のお悩み解決ができることはファンケルのコーポレートブランドとしての強みになるはずです。美と健康の提供価値に一体感が出るよう情報発信の際のブランドガイドラインやトーン&マナー(トンマナ)を見直し、部門の垣根を超えてブランドとしての一貫性を作っていこうとブランド推進プロジェクトチームがスタートしました。このプロジェクトには、商品企画や販売チャネルの部署だけでなく、人事や社内教育部門など幅広い部署から計22名が参加。ブランドの重要性を学び・実践に落とし込む勉強会や、ブランド調査結果の課題を踏まえてディスカッションを重ねるなど、活動を行ってきたそうです。
「ブランドを強化するには『表現』も課題だと感じていました。化粧品と健康食品でそれぞれ違うクリエイティブを作っていて、チャネルによってポップな表現のツールを使うところもあれば、直営店舗で美の世界観をメインに打ち出したアウトプットもある。一貫性を持たせるにはどこから手をつければいいのかわからなかったので、『表現』を一人一人が自ら考えるきっかけになるかもとamana Creative Campを実施しました」(白石さん)
クリエイティブの表現を考えるきっかけを作り、さらにどのような表現がファンケルらしいのか、一貫性を持つための共通認識を作ることができれば。その思いを実現すべく、ブランド推進プロジェクトのメンバーに、社内の制作担当者を加えて27名がamana Creative Campに参加しました。
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amana Creative Campは、アマナが培ってきた知見を活かし、企業の競争力を高めるクリエイティブ人材育成プログラムを提供します。
「ファンケルらしさ」を追求するために必要な言語化とビジュアル化
具体的に、クリエイティブで“らしさの追求”をするには、何をどう進めていけばいいのでしょうか。
今回のamana Creative Campでプランニングとファシリテーションを務めた、アマナのコミュニケーションプランナー・神田美咲からは、まず広告クリエイティブを作る時に持つべき視点から、ブランディングとマーケティングの違いについて解説。ブランディングは自分起点であり、ファンケルらしさを表現できているかが求められる一方で、マーケティングはターゲット起点であり、狙った成果を実現できているかが求められるという前提を話しました。
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プランニングとファシリテーションを務めたアマナの神田。
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当日の資料より。
そのうえで、他企業のケースを見ながら「なぜその企業のブランディングが成功しているか」のポイントをピックアップ。色による企業イメージの演出、パッケージデザインにおける統一感、クリエイティブ表現を構成する要素における共通のポイントなど、消費者に該当企業を想起させる表現の特徴について指摘します。
その後のワークショップではオンラインホワイトボード「miro」を使い、「ファンケルらしい」「ファンケルらしくない」を参加者一人一人が言語化・ビジュアル化。チームの中で、また会場全体で「なぜそう思うのか」を議論していきます。最終的には、「ファンケルらしさ」を追求することとメディアの最適化(さまざまなメディアで成果を上げる)を両立させつつ、ファンケルというブランドの一貫性が保てる条件や判断軸を抽出。全員の認識を合わせて、「ファンケルらしい表現を保つため」のチェックリストを作ることをゴールとして進めていきました。
●STEP1:ファンケルらしい・らしくない表現の言語化(個人及びチームワークにて実施)
●STEP2:チェックリストの作成
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実際のmiro画面より。
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ワークショップでの言語化について、どう表現すればいいかをサジェスチョン。
ブランディングの方向性が明確に。今後のプロジェクトをどう進めるか
休憩を挟んで約3時間40分に及んだamana Creative Camp。参加された方からは、「曖昧だった課題がはっきり見えた」「ブランディングに必要な要素を考えるきっかけになった」という反応がありました。
「私はグラフィック制作を担当しています。今回のワークショップで『ファンケルらしいか、らしくないか』の割り振りをしたおかげで、今まで『なんとなくファンケルっぽいよね』『なんとなく違うよね』と認識がふわっとしていたことが明確になりましたし、社員同士で共通認識を持つことができました。
今日、話が出たことについては、今後の制作物の色合いはどうしたらいいか、要素をどうするか、どこを際立たせるかなど、すぐに活かせると思いましたし、他のチャネルの制作物をチェックする時に「なぜそれがいいのか/ダメなのか」という理由をつけられるヒントになりました。
まずはブランド推進プロジェクトの中で、誰でも同じようにファンケルらしさを保てる、さらに実用的なチェックリスト作りを進めていきたいです。そういった指針があれば、今後は全社での一貫性が作りやすくなるはず。現段階ではいろいろなチャネルや媒体があるので、一気に統一するのは難しいかもしれません。でもブランド推進をやり続けていけば、いずれは全社で『ファンケルらしい』が確立できると思うので、根気強く進めていきたいです」(迫田奈緒さん/ファンケル/広告宣伝本部 健康食品広告宣伝部 健康食品ブランドプロモーショングループ)
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「健康食品事業部でブランドガイドラインを作っていますが、今日はいろいろな部署の目線からの意見を聞くことができ、それぞれの視点がわかってお互い刺激をもらえた時間でした。ブランディングとマーケティングは違うと頭では理解していても、現場ではうまく切り替えられないこともありますし、事業部としては営業部門との認識のギャップをどう埋めていくかという課題を見つけることができました。
ワークショップの最後のほうで『定義』という話が出てきましたが、情報発信の際のチェックポイントについては明確にしたほうがいいと思いましたし、それこそ事業部だけでなく全社で議論を重ねて合意形成していくべきだと感じました。
ファンケルには、多様な商品・売り場があるので、各部門の社員が各々でブランドガイドラインを正しく理解して進めていくことが大切。社内だけでなく、いろいろな企業とも一緒に仕事をしているので、そういう時にもガイドラインは必要です。すぐには完成できないかもしれませんが、何年かけてもやり遂げたいです」(井上海岬さん/ファンケル/健康食品事業本部 健康食品マーケティング部 事業戦略グループ 係長)
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それまで社員が漠然と思っていたことが、言語化とビジュアル化によって明確になったことで、ブランディングの方向性がより具体的になったと手応えを感じられたようです。
「『ファンケルらしさ』がどういうことか、例えばモデルの表情とか、文字の入れ方や色の使い方など、なんとなくOKラインを持っているけれど明文化・可視化はしておらず、認識があいまいなところもありました。表現において情報はすっきりとまとめられていることが理想ですが、アイテムによっては限られたスペースに情報を詰め込まなくてはいけなかったり、色数を使って目立たせなくてはいけなかったりすることがあります。そのような時にどうすれば見やすくなるかというアイデアも出ていて、何を意識すれば今後のクリエイティブに活かせるかがはっきりしました。今まではそういうことを皆で考える機会がなかったので、新しい手法を探るきっかけになったと思います。
これまで、ガイドラインはあるにはありましたが、今後はファンケルとしての世界観を皆で意識統一したうえでより従業員が活用しやすいガイドラインを作って、ファンケルらしさを視覚的にも表現できるようにしたいです」(柏倉さん)
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「商品企画と販売の制作担当者等、様々な部門が一緒にディスカッションしていたのがよかったですね。今まではプロダクトはプロダクト、販促は販促で進めていて発注するデザイン会社も違うから、ファンケルとしての一貫性を作りづらかったです。今日の話の中で、「ファンケルらしさ」を保ちつつ、どうマーケティング活動としてクリエイティブに反映させるかを意識づけができたのは大きかったです。言語化について、最初は社員もとまどっていましたが、神田さんの『どうやって言語化すればいいか』というサジェスチョンがサポートになっていました。ここでの学びを参加していないメンバーにも浸透させていき、クリエイティブにおける一貫性の確立を進めていきます」(白石さん)
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今後は、amana Creative Campで得たさまざまな意見やアイデアを基に、ブランド推進プロジェクトチームが主体となって議論を深め、ファンケルのクリエイティブを進化させていきます。ブランディングは経営資産を作り、育むプロセス。土台をしっかり作ることができれば情報発信がより的確になり、消費者の信頼も増えて大きな競争力を身につけることができます。
「プロジェクトチームのメンバーだけではなく、社員一人一人がブランドについて意識を持つことが大事ですよね。ファンケルのブランド力をプロジェクトメンバーからどんどん広めていって、将来的には全社員が共通認識を持てるようになるのが最終的なゴール。今は、『これってファンケルらしいでしょうか?』と聞かれることもありますが、ガイドラインやチェックリストを見て従業員それぞれが適切な判断ができるようになることが目標です」(柏倉さん)
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こちらの事例は、amana.jp制作実績 WORKSにも掲載しています。
<amana Creative Camp>(すべてアマナ)
プランナー:神田美咲
セールス:鎌田学
プロデューサー:佐藤千咲子
ディレクター:尾崎友香、重田果歩
サポートスタッフ:渡辺智美、杉山諒、飯塚翔
<記事制作>取材・文:大橋智子
撮影:カクユウシ(アマナ)
AD[top]:中村圭佑
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投稿 選ばれるブランドへ。amana Creative Campが実現する、ファンケル「らしさ」とは は amanaINSIGHTS(アマナインサイト) に最初に表示されました。
SOLUTION
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CreativeCamp
複雑で先行きの見えない世界においては、 人本来の持つ創造性を解き放ち、主体性を持ち躍動できる人材が求められます。amana Creative Campでは、 再現性を持ったクリエイティブナレッジを提供することで、個の創造性を高めると共に、企業の競争力を高める文化創りへと導きます。